人は歌をうたったり、ダンスを踊ったりします。そういう生き物です。

歌が初めにあったのか、踊りが初めにあったのか、どちらが先だったのでしょうか。

おそらく同時だったのではないかと思います。音と仕草が同時に生まれた。今でも我々はうれしいときに飛び上ったり、面白いときに手をたたいたり、何も考えずにしています。同時に声を出している。

原初的な音、と同時に何らかの動作が生まれた。基本それは喜びをあらわすものであったのではないかと思います。

感情をストレートにあらわすとき、人は踊り始めた。そしてそれは今も進化しています。

ただ言えることは、気持ちがまったく塞いでいる時、踊ることはできません。絶対にできない。つまり気持ちがないと踊れないということです。人の中にある気持ちを存分に発揮するダンスという表現方法はそれほど移ろいやすいものです。

だからこそ、面白いし、気持ちを強くしなければ観ているものには何も伝わらない。上手いダンスが必ずしも人を魅了するわけではない。

音楽をしっかり感じて世界と一体化すること。世界しか存在しない世界に存在すること。唯一ダンスを踊ることによってそんな場所に向かうことができる。

もっと自由に踊っても全然かまわない。答えがひとつあるわけじゃない。あるのは無数の問いだけ。

だからもっと踊るしかない。答えはいつか見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。それは特段どっちでもよい。

今はステップを踏み続けるしかない。無数の問いの中で。